アスランの軌跡を振り返る上で、避けて通れないのが『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』における激動の日々だ。自らの信じる正義と現実の政治の狭間で揺れ動き、組織と個人の間で引き裂かれそうになりながら足掻いた経験。あの苦渋の選択と挫折があったからこそ、現在の揺るぎないアスランが存在する。
テレビシリーズ当時のアスランは、常に正解を探し求める求道者であり、それゆえに周囲との摩擦やすれ違いを生んでいた。しかし、時を経て描かれた最新の姿では、自らが背負うべき役割を完全に自覚した大人の男へと成熟を遂げている。石田彰は、過去の痛みを消し去るのではなく、傷跡をすべて血肉に変えた男の深みを、声のトーンの微細な変化で見事に表現し切った。