六区を語るうえで外せないのが、芸人たちの胃袋を満たしてきた食の文化です。仲見世周辺とは一線を画す、独自の進化を遂げた浅草六区食べ歩きグルメが点在しています。
その筆頭格が、路地裏に暖簾を掲げる居酒屋「捕鯨舩(ほげいせん)」です。店内にはビートたけし氏の直筆サインや往年のスターたちの写真が所狭しと飾られ、マスターの威勢のいい掛け声が響き渡ります。看板メニューである捕鯨舩の牛にこみは、大鍋でじっくりと煮込まれた牛すじと豆腐が濃厚なタレをまとい、口に入れた瞬間にとろけるような深いコクが広がります。『浅草キッド』の歌詞「煮込みしかない鯨屋で」のモデルとなったこの一杯を求めて、全国からファンが訪れます。
一方、日中の通り沿いでは、名物のジャンボめろんぱんや手作りメンチカツ、老舗喫茶店の自家製プリンなど、手軽に楽しめるテイクアウトグルメが人気を博しています。ただし、浅草エリア全般のルールとして「歩きながら食べる行為」は混雑緩和や美化の観点から自粛が求められています。六区通りに設置されたオープンテラス席や購入店のイートインスペースを利用し、腰を据えて味わうのが粋な楽しみ方です。