インターネット上の華やかな写真だけを見て現地に向かうと、最初の関門で強烈な洗礼を受けることになります。茂串海水浴場は、車を降りてすぐに砂浜へ出られるような一般的なファミリー向けビーチではありません。
熊本市内から車を走らせる場合、九州自動車道・松島有料道路を経由し、天草五橋を渡って国道266号を南下すること片道約2時間半から3時間を要します。牛深の集落を抜けてようやく辿り着く駐車場(普通車約100台収容・夏季は環境保全協力金として1台あたり数百円〜千円程度)ですが、海水浴シーズンの最盛期には午前9時前後に満車となる日も珍しくありません。
車を停めた後に待ち受けているのが、茂串名物の険しいアプローチです。防波堤を越えた先には整備された舗装路がなく、ゴツゴツとした岩礁地帯や磯場を10分から15分ほど自力で歩破しなければメインの砂浜に到達できません。濡れた岩場は滑りやすく、鋭利な貝殻やフジツボが密生しているため、薄手のビーチサンダルやヒールのある靴で歩くのは極めて危険です。足首を固定できるマリンシューズやスニーカーの着用が絶対条件となります。
訪問計画を立てる上で最も警戒すべき要素が潮の干満差です。天草・有明海沿岸は日本有数の干満差を誇る海域であり、茂串海水浴場でもその影響は顕著に現れます。
事前に気象庁や海上保安庁が提供する「潮見表(タイドグラフ)」を確認せず、大潮の満潮時に訪れてしまうと、見渡す限りの白浜は海中に没し、足場のない切り立った岩肌しか残されていないという事態に陥ります。シュノーケリングや浜辺での滞在を心ゆくまで楽しむためには、干潮時刻の前後2時間を狙ってアプローチするスケジュール管理が不可欠です。