ネット上の情報や知恵袋などのQ&Aコミュニティでは、霧と靄に関していくつかの誤った認識が散見されます。典型的な誤解を解き、現場で使える知識へとアップデートしておく必要があります。
まず多いのが「水蒸気が見えているのが霧や靄である」という思い込みです。物理学的に、気体である水蒸気は無色透明であり、人間の肉眼で捉えることは原理的にできません。白く見えている時点で、それはすでに気体ではなく、微細な液体の粒(水滴)へと相転移しています。やかんでお湯を沸かしたとき、注ぎ口のすぐ側(透明な部分)が水蒸気であり、少し離れて白くモクモクと見えている部分はすでに冷えて液体になった「湯気(微小な水滴)」であるのと同じ理屈です。
また、日常的な風景の中で役立つ霧と靄の簡単な見分け方として、自分の生活圏にあるランドマークの距離感を把握しておく手法が実用的です。
「自宅から1km離れた場所にある学校の校舎やコンビニの看板が見えているかどうか」を確認します。遠くが霞んでいても、1km先の対象物が視認できればそれは「靄」です。しかし、その対象物が完全に白い靄の中に埋没して見えなくなっていれば、それはもはや靄ではなく「霧」の領域に足を踏み入れています。この基準を持っておくだけで、車を運転して出かけるべきか、あるいは速度を大幅に落とすべきかの判断が瞬時に下せるようになります。