工藤優作の声を担当する田中秀幸氏は、桐朋学園大学短期大学部芸術科演劇専攻を卒業後、劇団青年座などを経て声優界のトップランナーとして半世紀以上活躍する重鎮です。そのキャリアは幅広く、アニメ史に残る名作のキーマンを数多く担ってきました。
田中氏の代表作を振り返ると、その演技レンジの広大さに驚かされます。代表的な出演歴には以下のような金字塔が並びます。
- 『サザエさん』:フグ田マスオ(2代目)
真面目で心優しい日本の理想的な父親像。増岡氏のニュアンスを敬重しつつ、爽やかな誠実さを確立。 - 『SLAM DUNK』:木暮公延(メガネ君)/ナレーション
湘北高校バスケ部を陰で支える副主将。包容力のある台詞回しと、淡々としつつ熱を帯びたナレーションが話題に。 - 『ONE PIECE』:ドンキホーテ・ドフラミンゴ
優作の優雅さとは対極に位置する、冷酷非情かつ狂気的なカリスマ悪のカリスマ。狂気と嘲笑を交えた怪演は圧巻。 - 『聖闘士星矢』:獅子座のアイオリア
熱血と正義感を宿した黄金聖闘士。若き日の田中氏の力強いヒーローボイスを象徴する当たり役。 - 『カードキャプターさくら』:木之本藤隆
主人公・さくらの父親。優作に通底する、穏やかで絶対的な包容力を持つ理想の父親像の先駆け。
知的で気品に満ちた紳士から、凄みのある冷徹な悪役、さらには日曜夕方のお茶の間を和ませる庶民的な父親まで、声のトーンひとつで別次元の人間性を構築できる稀有な名優であることが分かります。