猛烈なバッシングの嵐のなかで沈黙を守り続けた船越英一郎。その背景には、長年培ってきた「サスペンスの帝王」としての矜持とキャリアの重みがあった。日本テレビ系列の『火曜サスペンス劇場』をはじめとする数々の枠で主演を張り続け、とりわけ片平なぎさとタッグを組んだ『小京都ミステリー』シリーズは、お茶の間の定番として絶大な信頼を獲得していた。
2時間サスペンスドラマという独自の文化圏において、船越は単なる主演俳優以上の存在だった。人情味あふれる刑事や鋭い洞察力を持つルポライターを演じ、視聴者に安心感と緊張感を提供し続けた数十年間。その清廉で包容力あるイメージが、突如として私生活のドロ沼劇によって揺るがされた衝撃は計り知れない。だが、感情的な反論を控え、司法の場と所属事務所の対応に委ねた姿勢は、結果として彼の俳優としての品格を長期的には守ることにつながった。