相撲ファンが通称として呼ぶ「砂かぶり席」の正式名称は「溜席(たまりせき)」です。土俵の東西南北を取り囲む最前列から数列に敷かれた座布団席であり、熱戦の最中に力士が巻き上げる土俵の砂が文字通り降りかかる距離にあることからその名が定着しました。
両国国技館における溜席は約500席配置されていますが、その大半は日本相撲協会の維持員(相撲界を支える法人・個人タニマチ)向けに割り当てられており、一般のファン向けにチケットぴあ等の公式販売ルート「チケット大相撲」で出回る座席数はごくわずかです。
一般席(マス席や2階イス席)との最大の違いは、単なる視界の良さにとどまらず、空間そのものが「神事を行う土俵の内郭」として扱われる点にあります。くつろいで飲食を楽しむ大衆娯楽のマス席とは異なり、溜席は力士の聖域に最も近い特別な観戦エリアとして位置づけられています。