1995年4月のスタート以来、平均視聴率15%前後を記録し、当時のNHK総合テレビの看板番組として愛された『コメディーお江戸でござる』。それだけに、2004年3月の番組終了時には視聴者の間で大きな衝撃が走り、一部では「突然の打ち切りではないか」という憶測も飛び交いました。
しかし、実際の終了理由は単なる視聴率低迷による打ち切りではありません。最大の要因は、約9年間にわたる長期レギュラー放送によるマンネリ打破と番組フォーマットの刷新にありました。NHKの制作陣と演者陣は、長屋を舞台とした定点観測的なシチュエーションコメディとしてひとつの完成形に達したと判断し、次なるステージへの発展的解消を選択したのです。
さらに、番組の精神的支柱であった江戸風俗解説の杉浦日向子さんが当時、体調を崩して休養・療養に入っていたことも大きな契機となりました。江戸の暮らしの知恵や風習を軽妙洒脱に語る彼女の存在なくして番組のアイデンティティは成立し得ないという共通認識が、9年の節目での幕引きを後押しすることになりました。