かつてミリタリー調の硬派な世界観が主流だったサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)の常識を、鮮やかなインクの飛沫とともに根底から覆したのが任天堂株式会社の放った革命だった。プロデューサーの野上恒(Hisashi Nogami)率いる制作陣が打ち出したのは、従来のシューター像とは対極にある、ハイパーポップで都会的なユースカルチャーの息吹だ。
その中心に立つインクリング(Inkling)の造形は、洗練されたグラフィックデザインの粋を集めている。三角形を基調としたソリッドな頭部形状、吸盤の配置、鋭利な瞳のアイライン。生物としてのイカが持つ有機的な曲線と、スニーカーやストリートウェアの無機質なエッジが見事な調和を見せる。記号としてのわかりやすさを保ちながら、どの角度から切り取ってもアイコニックなシルエットが崩れない。この強烈な視覚的強度が、世界中のクリエイターを惹きつける最大の源泉となっている。