すべらない箸の恩恵を最も受けているのは、手指の運動制御が未発達な子供たちと、加齢や麻痺などで握力が低下した高齢者です。
幼児期の「箸トレーニング」において、物が滑り落ちる失敗体験が重なると、食事そのものに対する苦手意識やストレスが生じがちです。先端に摩擦加工が施された子供用の六角木製箸を導入することで、指先を添えるだけで食材が掴める成功体験が生まれます。これが指の運動連動性を育み、正しい持ち方へのスムーズな移行をサポートします。
一方、介護・シルバーケアの現場では、すべらない箸は「自力摂取(自分の手で食べること)」の尊厳を支える重要ツールとして位置づけられています。握力の低下した高齢者が滑りやすい食材を諦めたり、スプーンに頼らざるを得なくなったりするケースにおいて、軽量な竹製先細箸や、バネ付き・シリコン先端のユニバーサルデザイン箸を導入することで、自立した食生活を継続できる事例が多々報告されています。食卓での自立は認知機能や自己効力感の維持にも直結しており、単なる日用品を超えた心理的価値を持っています。