もう一つの決定的な変化は、当事者であるろう者や難聴者の漫画家、あるいは当事者への綿密な取材を重ねたクリエイターによる発信が急増している点だ。
これまで聴者(耳が聞こえる人)の目線から語られがちだったステレオタイプは完全に過去のものとなった。作品内で描かれるのは、ろう者同士のアイデンティティのぶつかり合い、ろう学校と普通学校の選択にまつわる葛藤、あるいは「手話通訳者がいない場所でのもどかしさ」といった日常のリアルな断片である。ろう文化特有のジョークや、視界を遮られることへの不安感など、当事者にしかわからない繊細な心理描写が読者に強いインパクトを与えている。