3人の個性をここまで鮮やかに開花させた土台はどこにあるのか。彼女が長年大切にしてきた子育て・育児論の根底にあるのは、「子どもを一人の独立した人間として尊重する」という徹底した姿勢だ。
彼女は決して頭ごなしに否定しない。「危ないからやめなさい」「普通はこうするべき」といった大人の都合による枠組みを押し付けるのではなく、まず子どもたちの興味や欲求に耳を傾ける。長男が早くから自己表現に目覚めたときも、次男が自身の悩みと向き合いながら音楽の道を切り拓いたときも、三男が役者という険しい世界へ飛び込んだときも、彼女が示したのは過干渉ではなく「絶対的な受容」だった。
家庭内に存在したのは減点方式の評価ではなく、試行錯誤を面白がる空気。失敗すらも次の一歩の材料に変える母のしなやかな強さが、兄弟たちの果敢な挑戦心を育んだ。