現代のミュージックバーを語る上で避けて通れないルーツがある。1970年代ニューヨーク、伝説のパーティー「The Loft」を主宰したデヴィッド・マンキューソだ。彼は爆音で踊らせることよりも、原音に忠実なピュアオーディオで音楽の魂を届けることに生涯を捧げた。
その純粋な情熱は、巡り巡って現在の東京のバーカルチャーに色濃く息づいている。クラブの機能的なダンスフロアとは一線を画し、リスナーが空間の音響そのものを味わうスタイル。DJが繋ぐ一曲ごとのストーリーに耳を澄まし、ジャケットのアートワークを眺める。デジタルファイルでは決して味わえない、フィジカルなアナログレコード特有の温もりとダイナミズムが、失われかけた音楽への敬意を鮮やかに呼び覚ます。