運ばれてきた瞬間、誰もが息をのむ。器の縁から垂直にそびえ立つ氷の壁。通称「断崖絶壁」と呼ばれる名物のかき氷は、もはや甘味の枠組みを超えた現代アートに近い。一番人気の「生いちご」は、果肉の粒感をあえて残した自家製蜜が赤い滝のように氷肌を流れ落ちる。削り手の確かな手加減により、氷は羽毛のようにふんわりと重なり、口に含んだ瞬間に淡雪のように消え去る。温度管理を徹底した氷だからこそ、頭がキーンとなる不快感は微塵もない。
一方で、手土産の最高峰として君臨し続けるのが「九十九餅(つくももち)」だ。全卵を練り込んだ黄金色の求肥に、柔らかく炊き上げた虎豆が贅沢に散りばめられている。まぶされた挽きたてのきな粉は驚くほど粒子が細かく、口いっぱいに広がる香ばしさが餅の豊かな甘みを引き締める。ひと口かじれば、赤ちゃんの耳たぶのような驚異的な柔らかさに誰もが圧倒されるはずだ。