時任三郎という名を決定づけたのは、脚本家・山田太一が手掛けた名作『ふぞろいの林檎たち』だった。学歴社会の底辺でもがき、劣等感を抱えながらも懸命に生きる若者たちの群像劇。この作品は、まさに日本のテレビドラマ史における転換点となった。
時任が演じた岩田健一は、決してスマートではない。武骨で、時に空回りし、それでも仲間や恋人に対して嘘をつけない男だった。当時、トレンディドラマの前夜とも言える時代において、彼のリアルな生活感と泥臭い演技は、同世代の若者たちから熱狂的な共感を呼んだ。傷つきながらも立ち上がる若者の肖像は、時任三郎という稀有な表現者の原点として今なお輝いている。