識名園の構造は、日本発祥の池泉回遊式庭園の様式をベースにしながら、独自の「和・漢・琉」のハイブリッド美学を体現している。池の周囲をめぐる小道を進むと、まず目を引くのが2基の中国風石橋だ。中国産の石材ではなく、地元の琉球石灰岩を用いて造られたアーチ橋は、技術の高さと独特の質感を物語る。
また、池の源泉である育徳泉には、琉球固有の珍しい淡水藻「シマチスジノリ」が生息しており、国の天然記念物にも指定されている。水面に映る六角堂の影、池に浮かぶふたつの小島、そして四季の移ろい。寒緋桜が咲く春、緑が深まる夏、そして涼風が吹き抜ける秋。季節ごとに表情を変える景観は、どこを切り取っても絵画のように計算し尽くされている。