当時のVシネマ界を席巻していたのは、暴力と血で縄張りを争う伝統的な任侠映画だった。拳銃と日本刀が乱れ飛ぶ世界線において、本作が提示した切り口は極めて知的で前衛的だったと言える。武器になるのは銃火器ではなく、六法全書と手形、そして緻密に仕掛けられた罠だ。
借用書の文言一つ、公正証書の効力、民事執行の手続き――。本作は銃撃戦の代わりに、契約書を巡るスリリングな心理戦を描く傑出した金融サスペンスとしての地位を確立した。暴力団でも警察でもない「ミナミの金貸し」という絶対的な第三者視点だからこそ描けた、人間の強欲と脆さの断面。規制に縛られないオリジナルビデオ特有の自由度が、作品のエッジを極限まで尖らせていた。