日本の音楽業界において、偉大なレジェンドの遺伝子をどう次世代へ継承していくかというテーマは、常に議論の的となってきた。血縁関係による二世ミュージシャンの誕生はメディアの格好のトピックとなるが、偉大すぎる親の影は時に重荷ともなる。
甲斐名都が見せたように、血筋のブランドに頼ることなく自らの音楽性を磨き上げた表現者は、親とは別の確固たるリスナー層を築き上げている。一方で、甲斐よしひろ自身もまた、後進のバンドやプロデューサーたちとのセッションを重ね、自身のロック魂をカルチャーとして下の世代へと手渡してきた。
血縁としての息子はいなくとも、彼の魂を受け継ぐ「音楽的な息子たち」は、現代のJ-ROCKシーンに無数に存在する。ストレートなギターリフ、切なさを秘めた歌詞の世界観、オーディエンスを煽り立てる圧倒的なフロントマンシップ。甲斐よしひろが切り拓いた地平は、血の繋がりを超えて多くのアーティストたちに息づいている。