人材育成・社員研修産業において、第一線で活躍する専門家たちもこの問題に鋭く切り込んでいる。
マナーコンサルタントの西出ひろ子氏は、マナーの本質を「相手への思いやりを行動や言葉で形にすること」と説く。同氏の視点に立てば、相手が心理的な距離を縮めたいと願っている場面で過剰に堅苦しい言葉を選ぶことは、かえって相手の好意を拒絶する行為になり得るという。
一方、人材育成や美しい立ち居振る舞いを指導する井垣利英氏も、形式だけをなぞるマナー教育に警鐘を鳴らす。日本マナー・プロトコール協会などが提唱するプロトコール(国際儀礼)の基準を踏まえつつも、現場で本当に信頼を勝ち取るのは「声の抑揚」「表情」、そして何より「相手の心境に合わせた柔軟性」であると指摘する。両氏の提言に共通するのは、形式美に逃げず、目の前の生身の相手と向き合う重要性だ。