キム・ドンウクのキャリアを語るうえで、2007年の大ヒット韓国ドラマ『コーヒープリンス1号店』を外すことはできない。人懐っこく愛嬌たっぷりなチン・ハリム役は、日本をはじめとするアジア全域で大きな旋風を巻き起こした。甘いルックスと軽妙な掛け合いで一躍脚光を浴びた彼だが、本人はそこで立ち止まる気など毛頭なかった。
甘美な青春スターのイメージに安住せず、インディペンデント映画や舞台、ミュージカルの世界へ果敢に飛び込んだ。泥臭い現場で磨き上げられた発声と身体表現が、のちの圧倒的な演技幅の土台となっていく。若き日のブレイクを消費されるだけのブームで終わらせず、骨太な職人肌の俳優へと脱皮させたのは、彼自身の妥協なき探求心だった。