浅煎りの酸味やシングルオリジンを追求したサードウェーブの熱狂を経て、市場には確かな揺り戻しが起きている。全日本コーヒー協会の統計データを俯瞰しても、消費者が求める価値は「豆のスペック」から「飲む空間と体験」へと明らかにシフトした。
激変する飲食業界において、ただ喉を潤すだけのファストカフェは飽和状態に達した。その反動として脚光を浴びているのが、昭和の美意識を色濃く残す純喫茶スタイルだ。かつてはシニア層の憩いの場だったビロードのソファに、今はラップトップを閉じた若者たちが腰掛ける。彼らが求めているのは、過剰なスピード感から逃散できるシェルターとしての機能だ。