日本の防諜機構は、決して単一組織のスタンドプレーで動いているわけではない。その頂点に君臨し、全国の公安警察を束ねる司令塔が警察庁警備局だ。地方公務員である各都道府県警の警察官とは異なり、警察庁警備局は国家公務員キャリアを中心とした官僚組織であり、極秘裏に全国規模の諜報戦略を指揮する。
ここでしばしば混同されるのが、法務省の外局である公安調査庁の存在だ。警察庁・警視庁が「警察行政・インテリジェンス」の一翼を担い、逮捕権や強制捜索権を持つ法執行機関であるのに対し、公安調査庁は破壊活動防止法や団体規制法に基づく調査を専門に行う純粋な情報機関である。逮捕権は持たないものの、国内外の治安情勢に関する緻密な情報収集・分析能力において独自の存在感を示している。
組織ごとの縄張り争いや情報共有の障壁が囁かれることもあるが、サイバー攻撃の高度化や国際情勢の激変に伴い、各機関の連携はかつてない変革を迫られている。見えない脅威を前に、水面下の情報戦はよりシビアな局面を迎えているのだ。