この組織の特異性は、中央統制を持たない細胞(セル)型の構造にあった。「狼」「大地の牙」「さそり」という3つの独立したグループが、互いの素性を厳重に伏せたまま並行してテロを敢行。既存の新左翼セクトと一線を画し、学生運動の枠組みを飛び越えた一般市民のような風貌で社会に溶け込んでいた。
大道寺将司の妻であった大道寺あや子らをはじめ、組織のメンバーは昼間はごく普通の会社員や書店員として勤務。夜になるとアパートの一室で除草剤や薬品を調合し、殺傷力の高い爆弾を組み上げていた。彼らが掲げたのは、帝国主義侵略への断罪という独善的な理論。だが、その実態は無関係な市民を巻き添えにする冷酷な殺人行為に過ぎなかった。