つくばのKEK(高エネルギー加速器研究機構)でいま一体何が起きているのか。関係者の間で囁かれていた最新の実験データが、ついにベールを脱いだ。周長3キロメートルに及ぶ地下リングで電子と陽電子を光速近くまで加速し、正面衝突させる「SuperKEKBプロジェクト」。その衝突点で観測されたのは、これまでの物理学の教科書を書き換える可能性を秘めた異常信号だ。
宇宙が誕生したビッグバンの直後、物質と反物質は同数存在していたはずだった。しかし、現在の宇宙にはなぜか物質しか残っていない。この「消失した反物質」の行方を追うため、世界26の国と地域から集まった800人以上の頭脳が昼夜を問わず解析を続けている。