八瀬の歴史は、天台宗の開祖である傳教大師・最澄が比叡山延暦寺を開いた時代にまで遡る。比叡山への東塔本谷に至る登山口として、八瀬は古くから信仰の道標としての役割を果たしてきた。山からの冷気が吹き抜けるこの地は、神聖な気が満ちる場所として重宝されてきたのだ。
その玄関口として大正時代に開業したのが、現在の八瀬比叡山口駅である。ドーム状の木造トラス構造を持つホーム屋根は、当時の鉄道建築の美しさをそのまま今に伝えている。時代を超えて多くの参拝客や旅行者を迎え入れてきた駅舎は、足を踏み入れるだけで大正ロマンの風情を感じさせ、歴史の厚みを物語っている。