フィギュアスケートは、数分間の演技に何年もの努力を凝縮する究極の緊張状態を強いられるスポーツだ。極限のプレッシャー下でミスを最小限に抑え、自己ベストを更新し続ける坂本のメンタルは「鉄の心臓」と称されることも少なくない。この土壇場での強さの源泉こそ、警察官である父親の姿勢から学んだ「冷静沈着さ」にある。
どんな緊急事態においても慌てず、現状を正しく把握して対処する。警察官に必要なこの資質は、スケートリンクで予想外のアクシデントに見舞われた際にも威力を発揮した。ジャンプの回転が乱れそうになっても瞬時に空中で体幹を立て直す判断力や、失敗を引きずらずに次の要素へ集中を切替える技術は、まさに厳父譲りのリスク管理能力と言える。