かつて伊丹十三監督の名作映画『マルサの女』で描かれた泥臭い内偵調査は、いまや最先端のサイバー空間へと主戦場を移した。国税局の専門チームは、YouTubeの動画投稿、Instagramのストーリーズ、Xのタイムラインを24時間体制でアーカイブ解析している。
「高級外車を購入した」「タワマンに引っ越した」「海外遠征で豪遊した」といった何気ない投稿の一つひとつが、脱税の決定的な状況証拠となる。申告された所得額と、SNS上で誇示される豪奢な生活水準との間に生じる不自然なギャップ。査察官はその矛盾を見逃さない。デジタルフォレンジック技術を駆使して削除されたチャット履歴や裏アカウントの取引データを復元し、隠し口座の存在を容赦なく暴き立てる。