東洋民俗学の観点から見ると、東アジアの「箸文化圏」に属する国々の差異は極めて示唆に富んでいる。
中国の箸が長大で先が丸いのに対し、日本の箸は短く先端が尖っており、素材には木や漆が多用される。海に囲まれ魚を主食としてきた日本は、骨を取り除く繊細な箸さばきを好んだ。韓国ではステンレスなどの金属製で平たい形状の箸が主流であり、汁物を食すためのスプーン(スッカラ)と常に一対で扱われる。
こうした差異を学術的・文化的に研究し、後世へと継承する動きも活発だ。国際箸文化協会などの民間組織や研究機関は、箸を通じたアジア諸国の文化交流を深めるとともに、東アジア共通の食文化遺産としてユネスコ無形文化遺産への登録を見据えた議論を継続している。日常の道具を普遍的な文化財として再評価する機運は高まる一方だ。