映画ファンの間でまことしやかに囁かれる「友情出演=ノーギャラ」という言説。実態はどうなのか。現場の証言を総合すると、完全な無報酬ということは稀だが、一般的な出演料の水準からはかけ離れた額であることは間違いない。
かつては「お車代」と称した数万円程度の包み紙や、監督からの高級ワイン、あるいは打ち上げの席での豪快なご馳走で済まされることも珍しくなかった。芸能界における「貸し借り」の文化であり、今回は格安で出る代わりに、次回自分がプロデュースする作品にはノーギャラで来てくれという、暗黙のギブ・アンド・テイクが成立していたのだ。
しかし、契約の透明化が進む近年、こうした情緒的な商慣習も見直しを迫られている。実演家の労働環境改善や権利擁護に取り組む日本俳優連合などの動きもあり、たとえ1カットのカメオ出演であっても、最低限の労務対価と肖像権利用に関する覚書を交わすケースが定着してきた。税務上の観点からも、形式的な出演料を支払った上で経理処理を行うのが現代のスタンダードとなっている。