日本放送協会(NHK)の人気看板番組『ドキュメント72時間』において、吹石一恵のナレーションはもはや番組の魂とも呼べるピースになっている。画面に映し出される市井の人々の悲喜こもごもに寄り添い、決して出過ぎず、突き放しもしない絶妙な距離感。あの温度感のある低音ボイスは、視聴者の心を静かに掴んで離さない。
放送直後からSNS上では彼女の語りに対する絶賛の声が溢れ、NHKオンデマンドの再生ランキングでも彼女が担当した回は常に上位に食い込む。声だけで人間の機微を描き切る表現力は、女優としてのブランクなど微塵も感じさせないどころか、人生経験を糧にさらなる深みを獲得している。