仲章の本質は、京都と鎌倉という二つの権力センターを自在に往来する希代のフィクサーだった点にある。尾張源氏の出自でありながら、京で学者としての名声を高め、後鳥羽上皇から絶大な信任を獲得。その類まれな実務能力を買われて鎌倉へ下向し、若き源実朝に対して和歌や学問、官職昇進の作法を指南する教育係の地位を確立した。
実朝にとって仲章は、遠く雅な京文化の息吹を届けてくれる得難い導き手だった。一方で、朝廷の論理を鎌倉幕府へ浸透させようとする上皇の意向を体現する存在でもあった。武蔵国の要職に就くなど、実質的な権益を東国に築き上げていく仲章の存在は、幕府の主導権を握り続けたい北条氏にとって、日増しに看過できない脅威へと変貌していったのだ。