逃亡生活の長期化は、両親の精神を限界まで摩耗させた。世間からの追及をかわし、事件とは無関係である弟たちの未来を守るため、一家は戸籍上の名字を変更するという苦渋の決断を下す。
だが、名字を変えても過去から完全に逃れることはできなかった。新しい居住地で生活を立て直そうとするたびに、些細なきっかけから正体が露見し、再び転居を強いられる悪循環。重圧は、夫婦の絆をも容赦なく蝕んでいった。
少年Aに対する教育方針の違いや、今後の贖罪のあり方を巡る意見の対立。互いを責め合う日々の果てに、両親は協議離婚を選択する。父親と母親は別々の道を歩むことになり、残された兄弟たちもそれぞれが自活を模索しながら散り散りになっていった。ひとつの凶行が、ひとつの家族を完全に解体させた瞬間だった。