山本五十六の戦死と海軍甲事件の真相|暗号解読と撃墜の謎を追う

山本五十六の戦死と海軍甲事件の真相|暗号解読と撃墜の謎を追う

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インターネット上の言説では、「日本海軍は暗号が解読されていることを知りながら山本を見殺しにした」「山本自身が死に場所を探していた」といった陰謀論めいた言説が散見されます。しかし、一次史料を精査すると、そこにあったのは陰謀ではなく、典型的な「組織の認知バイアス」と「過信の病理」でした。

盲点1:暗号への過信が生んだ油断

日本海軍の通信担当部署は、「日本の暗号帳は極めて複雑であり、米軍に解読できるはずがない」という根拠なき確信に囚われていました。電報の暗号体系が変更された直後であったことも油断に拍車をかけました。米軍が偶然のパトロールを装って撃墜したかのように工作したこともあり、海軍は事件後も暗号解読の事実を認めず、暗号体系の全面刷新を怠るという致命的な二次被害を招きました。

盲点2:美学を優先したリーダーシップの暴走

山本の直属の部下であった宇垣纒参謀長をはじめ、周囲の幕僚たちは前線視察の危険性を訴えていました。視察先は米軍の制空権下にあるガダルカナル島に極めて近いエリアだったからです。しかし山本は、「前線で連日苦闘している若い兵士たちに顔を見せ、激励したい」という個人的な責任感と美学を曲げませんでした。トップの頑なな決意に対し、周囲がブレーキをかけられないという、日本型組織特有の力学が働いていたのです。

田中 結衣
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田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。