野球経験者がソフトボールをプレーする際、最も戸惑うのが「時間のなさ」と「物理的距離の近さ」です。ルールブック上の数値とグラウンド上の体感速度には、野球とは根本的に異なる構造があります。
まず決定的なのが塁間距離(18.29m)です。野球の塁間(27.431m)に比べて約9メートルも短く、打者が打ってから一塁へ到達するタイムは女子トップ選手で2.8秒〜3.1秒前後、男子選手なら2.6秒台を記録します。これは、内野手が打球を捕球してから送球を完了するまでに2秒未満しか猶予がないことを意味します。ファンブルや握り直しは即セーフにつながるため、内野手には「捕ってから投げるまでの流れるようなステップ」と「クイック送球」が絶対条件となります。
さらに、ソフトボールには野球のような「リード(投球前の離塁)」が認められていません。投手のウインドミル投球が手から離れた瞬間に初めて走者はスタートを切ることができます。そのため、走者はトップスピードで次の塁を狙い、捕手は捕球後コンマ数秒で送球姿勢に入らなければ盗塁を阻止できません。
また、外野フェンスまでの距離が60m〜70m前後と短いため、外野手は「浅めの定位置」を取ることが多く、右翼手が強烈なゴロを一塁へダイレクト送球して打者走者を刺す「ライトゴロ」が実戦で頻繁に成立する点も、野球には見られないソフトボール特有の醍醐味です。