新喜劇入団後のアキを語る上で欠かせないのが、元座長・辻本茂雄(茂造じいさん)との運命的な出会いです。黄色いスーツを身に纏った借金取り役やヤクザ役として茂造の舞台に登場したアキは、辻本が仕掛ける容赦ない無茶振りや長尺のアドリブ攻撃を、驚くべき反射神経とユーモアで受け止め続けました。
国民的フレーズとなった「いぃよぉ〜」は、緊迫したヤクザの取り立てシーンで、相手の理不尽な要求や言い訳をすべて全肯定するという逆転の発想から誕生したギャグです。相手を威圧するのではなく、優しく包み込んで脱力させるこのフレーズは、関西の日常会話に浸透するほどの社会現象となりました。
特番インタビューや当時の手記において、アキは「辻本さんの舞台は一瞬たりとも気が抜けない真剣勝負の道場だった。あのアドリブの応酬があったからこそ、舞台上で何が起きても動じない度胸と、共演者の良さを引き出す間合いが身についた」と語っています。辻本茂雄という絶対的な巨星と正面からぶつかり合い、信頼関係を築き上げた経験が、現在の座長としての柔軟な統率力につながっています。