大手メディアが逮捕の一報を報じる直前、あるいは何らかの逮捕劇が起きた直後、SNSや掲示板(5chやXなど)には決まって「違法薬物疑惑芸能人リスト」なるものが流出します。「次に逮捕される大物俳優X」「紅白出場歌手Yに家宅捜索」といったイニシャル報道や真偽不明の噂話は、瞬く間に数万リポスト規模で拡散され、大衆のセンセーショナリズムを刺激します。
しかし、捜査実務の観点から見れば、こうしたネット上のリストの多くは単なるPV稼ぎや憶測によるデマに過ぎません。マトリや警視庁組織犯罪対策部などの捜査機関は、証拠隠滅を防ぐために内偵捜査の事実を極秘裏に管理しており、週刊誌の記者であっても決定的な令状請求のタイミングを事前に察知することは極めて困難です。過去の事例を検証しても、ネット上で長年名前が挙がり続けている著名人が逮捕されるケースよりも、全く噂に上っていなかった人物が電撃的に身柄を拘束されるケースのほうが圧倒的に多いのが現実です。
根拠のないイニシャル情報に踊らされ、特定のタレントを名指しして誹謗中傷や拡散に加担する行為は、名誉毀損罪や信用毀損罪に問われる重大な法的リスクを孕んでいます。「ネット上の暴露話」と「警察発表に基づく確定事実」を厳格に切り離して捉える冷静なリテラシーが、現代の読者には強く求められています。