2010年7月30日に配信限定シングルとしてリリースされた『雨上がりの虹のように』。当時の公式発表資料や音楽専門誌のインタビューを振り返ると、本作は日本の夏を爽快に駆け抜けるポップチューンとして緻密に構築されたことがわかります。作曲を手掛けた盟友・多保孝一と、プロデューサーの蔦谷好位置によるアレンジは、きらびやかなブラスセクションと弾むようなベースラインが特徴的で、60年代モータウンポップの王道を現代のJ-POPへ鮮烈に昇華させています。
本作の歌詞の意味を紐解くうえで決定的なのは、「雨」を単なる悪天候やネガティブな記号としてではなく、「恵み」や「リフレッシュの契機」として肯定的に捉え直している点です。越智志帆が紡いだ言葉の端々には、「涙を流したあとには必ず新しい景色が広がる」という人生讃歌が通底しています。雨宿りをしながら憂鬱をやり過ごすのではなく、雨の匂いすら楽しんで次の一歩を踏み出す姿勢――。この前向きな歌詞の世界観こそが、多くのリスナーの胸を打つ最大の要因です。
当時、大手自動車メーカー(SUBARU)のCMソングとしても大量オンエアされ、街中やお茶の間に爽やかな風を吹き込みました。単なる商業的なタイアップソングにとどまらず、のちに大ヒットを記録した3rdアルバム『Mind Travel』の中核を担う重要曲へと成長していった発売日の経緯には、楽曲そのものが持つ純粋な推進力がありました。