華やかな芸能界のフロントランナーとして走り続けてきた川平慈英ですが、その若い頃はプロアスリートを目指しながらも夢破れた過酷な挫折の歴史がありました。
学生時代の彼は、読売サッカークラブ(現・東京ヴェルディ)のユースチームに所属し、ユース日本代表候補に選出されるほど屈指のミッドフィールダーでした。全米屈指の名門であるテキサス州立大学へのサッカー留学を果たし、本気で日本初のプロサッカー選手を目指していたのです。しかし、アメリカ滞在中に見舞われた深刻な膝の負傷により、選手生命は突如として断たれることになります。生きがいを失い暗闇の中にいた彼を救ったのが、幼少期から親しんでいた演劇とブロードウェイの舞台でした。ピッチから舞台へと立つ場所を変え、失意を乗り越えて情熱を注ぎ込んだからこそ、彼の身体表現には他者を圧倒する生命力が宿っています。
そして2013年、彼のパブリックイメージを決定づけたのが「楽天カードマン」のCMでした。目に巨大なクレジットカードを装着し、全身全霊でカードの利便性をアピールする姿は、当初はそのシュールさから業界内外で大きな話題を呼びました。しかし、10年以上が経過した現在でもCMキャラクターとして継続起用されている事実は、彼の持つ「徹底してやり切るプロ意識」と「老若男女に嫌われないクリーンな誠実さ」を企業側が高く評価している証拠です。道化を完璧に演じ切りながら、決して品格を失わないバランス感覚こそが、彼が第一線で生き残り続ける最大の武器となっています。