「尻餅をつくのは単なる打撲」と過信するのは極めて危険です。転倒から数日経過しても尻餅をついたあとの痛みが引かない場合、単なる筋肉や皮下組織の挫傷ではなく、骨格自体が破壊されている可能性を疑わなければなりません。
特に典型的なのが尻餅に伴う尾骨骨折の症状です。尾骨(いわゆる尾てい骨)に亀裂が入ったり骨折したりすると、立ち座りの動作やくしゃみ、排便時に臀部の深部へ鋭い激痛が走ります。尾骨周辺には多くの神経線維が密集しているため、わずかなヒビであっても神経を刺激し、椅子に腰掛けることすら困難になるほどの苦痛を伴います。
さらに見逃せないのが、胸椎から腰椎にかけて生じる「脊椎圧迫骨折」です。尻餅をついた瞬間に縦方向の圧力が背骨へ伝わり、円柱状の椎体がつぶれてしまう外傷です。「尻を打っただけなのに、なぜか背中や腰が激しく痛む」という場合、背骨が押しつぶされているサインに他なりません。