日本では古くから、三毛猫は「福を呼ぶ縁起物」として重宝されてきました。商売繁盛のシンボルとして親しまれている「招き猫」の多くが三毛猫をモデルにしているのも、その象徴的な表れです。
特に滅多に生まれないオスの三毛猫は、江戸時代から昭和初期にかけて「航海安全の守り神」として船乗りの間で絶大な信仰を集めました。オスの三毛猫を船に乗せると船難事故に遭わないという言い伝えがあり、第一次南極観測船「宗谷」においても、隊員の士気向上と航海安全を祈願してオスの三毛猫「タケシ」が同乗した史実は広く知られています。
この極端な希少性から、かつてはメディアや愛好家の間で「オスの三毛猫には数百万円から2,000万円以上の値段がつく」という噂が飛び交いました。実際に昭和期のオークションやテレビ番組でセンセーショナルに取り上げられた過去があります。しかし、現在の適正なペット市場や動物愛護の観点においては、染色体異常を持つ個体を金銭的投機の対象とすることは厳しく戒められています。希少価値のみを煽る取引は倫理的にも推奨されず、保護猫シェルターや適切なブリーダーからの譲渡が一般的な選択肢となっています。