音楽史における金字塔となった名盤『BAD (アルバム)』。前作『Thriller』という歴史的巨編のプレッシャーが重くのしかかる中、名プロデューサーのクインシー・ジョーンズとのタッグは、ここで一つの完成形を迎えた。当時のエピック・レコードは世界中からの途方もない期待に応える必要があったが、二人が選んだのは過去の成功体験の模倣ではなく、よりエッジの効いた都市的なサウンドへのシフトだった。
伝統的なR&Bのグルーヴと、当時先進的だったエレクトロニックなポップ・ミュージックを融合させたトラックは、全米ビルボードチャートで5曲連続1位という偉業を達成。音楽産業の常識を根底から覆した。重厚な打楽器と緻密なシンセサイザーが織りなす完璧なプロダクションは、今聴いても一切の古臭さを感じさせない圧倒的な強度を保っている。