「大事なのは、力士一人ひとりが自分の頭で考え、土俵で表現すること」。取材に応じた安治川親方は、静かな口調の中に強い決意を込めて語り始めた。部屋を立ち上げてから数年が経過した2026年、安治川部屋の運営方針はさらなる深化を遂げている。ただ厳しい稽古を課す伝統的な手法から一歩進み、個々の適性や骨格、精神面に寄り添うパーソナライズされた指導が実践されているのだ。
角界の再興にかける親方の情熱は本物だ。自らが度重なる大怪我を乗り越えて関脇まで上り詰めたからこそ、挫折を知る者の強さと、怪我を未然に防ぐ身体づくりの重要性を誰よりも理解している。部屋の稽古場には最新の動画撮影設備が整えられ、稽古後すぐに自分の立ち合いや足運びをチェックできる環境が構築された。根性論だけに頼らない合理的アプローチこそが、若手力士たちの可能性を解き放つ鍵となっている。