この裁判の最大の争点は、被告の「責任能力」の有無だった。逮捕直後から精神的な不安定さが指摘されており、検察側と弁護側の双方が専門家による精神鑑定を実施。法廷では、被告が抱えていた被害妄想的な思考パターンが詳細に分析された。
しかし、裁判長が重視したのは「犯行前後の合理的な行動」だった。被告は事件前、インターネットで催涙スプレーの威力や、百貨店内の防犯カメラの位置について検索していた形跡が残っていた。さらに、スプレーを噴射した直後、人混みに紛れて素早く現場を離脱しようとするなど、自身の行為が違法であることを明確に認識していたと判断された。計画的な犯行である以上、心神喪失や心神耗弱の主張が認められる余地はなかった。