コンクリートに囲まれた都心のオフィス街。突如現れたポップアップガーデンには、咲き誇る白いライラックを求めて長蛇の列ができていた。「視覚的なノイズが多すぎる現代社会において、白という色は一種のクリアボタンなのです」。そう語るのは、都内を拠点に活動するランドスケープデザイナーの佐藤由香氏だ。
過剰な情報と鮮やかな色彩であふれかえる現代社会において、人々が植物に求める役割は劇的に変わりつつある。単なる鑑賞用ではなく、過熱した頭脳を静める「視覚的ノイズキャンセリング」だ。白いライラックが持つ独特の透明感と柔らかな花びらの重なりは、視界に入るだけで心を凪の状態へと導く。最新の環境心理学の研究でも、白い生花がもたらすリラクゼーション効果が実証され始めている。