物語に深い奥行きを与えたのが、杏演じる「横浜ER」のチーフドクター・鴨居友の存在だ。「危険を冒して現場に入るのは医療ではない」という合理的で冷徹な持論を展開する鴨居と、「目の前の命を救うために現場へ走る」喜多見。ふたつの異なる信念が激しくぶつかり合うドラマは、視聴者に「本当の救命とは何か」という重厚なテーマを突きつけた。
だが、物語が佳境を迎えるにつれ、互いのプロフェッショナリズムを認めざるを得なくなるプロセスが見事だった。言葉ではなく行動で示される覚悟。理想論だけでは救えない現実と戦いながらも、最後には同じ「救急医」としての誇りで結ばれる展開は、劇場中を涙で包み込んだ。