荒川と中川に囲まれた袋小路のような地形を持つ葛飾区東四つ木地区において、「専用の避難橋(人道橋)を架けてほしい」という住民要望は、過去数十年にわたり区議会や地域防災協議会で幾度となく議論されてきました。川の氾濫時に孤立する恐怖を肌で感じている住民にとって、水害から命を守る避難橋計画は悲願ともいえるテーマです。
では、その計画の現在はどうなっているのでしょうか。結論から言えば、「東四つ木と対岸(墨田区側や高台地域)を直結する単独の防災人道橋の新規建設」は具体化に至っていません。国土交通省の河川管理規定や治水上の安全基準、数層に及ぶ橋脚設置の難易度、そして数百億円規模に上る莫大な事業費が大きな障壁となっているためです。
葛飾区における防災人道橋の検討経緯を振り返ると、単独の橋を新設するアプローチから、「既存の道路橋の防災機能を極限まで強化し、実質的な避難路として活用する方針」へと舵が切られています。行政としては、橋を一本新設する歳月を待つよりも、今あるインフラを強化して確実な避難ルートを確保する現実的な選択肢を進めているのが実情です。