墜落までの約32分間、機内は恐怖と絶望に支配されていた。その極限状態の中で、乗客たちは家族へのメッセージを遺そうとした。手帳の切れ端、紙袋、あるいは航空券の裏。そこには、殴り書きされた感謝の言葉や、家族の未来を案じる言葉が記されていた。
キャンセル待ちで搭乗したある男性の遺品からは、「みんなで仲良く暮らしてくれ」という短いメッセージが見つかっている。急遽決まったフライトだったからこそ、家族にまともな別れも告げずに旅立ってしまった後悔が、その筆跡から痛いほど伝わってくる。遺された家族は、その紙切れを家宝のように抱きしめ、激動の昭和、平成、そして令和を生き抜いてきた。