このプロジェクトが特別な重みを持つ最大の理由、それは日本を代表する映画監督・是枝裕和氏の関心を引き寄せた点にある。家族の機微や市井の人々の営みを繊細かつ圧倒的なリアリズムで描き続けてきた巨匠が、なぜいまこの題材に着目したのか。
「食卓を囲む人々の眼差し、湯気の向こうにある言葉にならない感情の機微こそが、人間の本質を照らし出す」。関係者が明かしたメモには、そうした視座が色濃く反映されていた。虚飾を排し、生活の手触りをそのままスクリーンに焼き付けるアプローチ。そこに宿る普遍的なヒューマニズムが、クリエイティブの根幹を力強く支えている。