頭痛を抑えるために飲んでいた薬が、かえって新たな頭痛を引き起こす——。この恐怖の現象が「薬物乱用頭痛(Medication Overuse Headache: MOH)」である。痛みが不安なあまり、予防的に常用したり、週に何日も連続して服用し続けたりすることで、脳の痛みを司る神経系が過敏になり、慢性的な頭痛の泥沼に陥ってしまう。
日本頭痛学会の専門医らは、月に10回以上市販の解熱鎮痛薬に頼っている状態であれば、直ちに市販薬の使用を中断し、専門外来を受診するよう促している。「市販薬はあくまで緊急避難的な対症療法。連用によって頭痛が悪化している場合は、医師による予防薬の処方など根本的な医療介入が必要だ」という指摘を軽視してはならない。