日本の芸能界や映画業界において、ポスターやエンドロールにおける名前の並び順——いわゆるキャストクレジットの順番は極めてセンシティブな問題だ。
クレジットの基本構造は、先頭に位置する「トップ(主演)」、中盤を固める「中黒(中集団)」、そして最後に名前が置かれる「トメ(留め)」で構成される。「トメ」は作品全体を後ろからどっしりと支える最も重厚なキャストに与えられる最高の栄誉だ。しかし、主演級の主演キャストが2名以上並び立つダブル主演作や豪華群像劇では、誰を「トメ」に置くかで事務所間の調整が難航する。
そこで生み出されたのが、名前の前に「特別出演」と記す手法や、枠で囲む「トメ枠」という演出だ。大物俳優に対して「主役より後の順番で名前を出す非礼」を回避しつつ、その存在に別格の敬意を示すための知恵がここにある。